川の水を平野の上に引くには、平野面より高い位置を川が流れているところで水をとって水路に入れなければならない。
非常に遠くからの長い水路が必要になることが理解いただけるであろう。
初期の農耕の段階ではそのような大工事は不可能であった。
箱庭的な地形のほうが小さな工事で容易に水を引き水田を造成することができるのである。
日本の水田開発は傾斜のある土地で小河川から水を引くことから始まり、大きな社会資本の投下が可能になるにつれて、さらに大きな平野とそこを緩やかに流れる大河川へと開発の対象が変わっていった。