2014年12月アーカイブ

ガット第23条1項(b)は,他の締約国が,ガット規定に抵触するかどうかを問わず,なんらかの措置を適用した結果として,自国に与えられているガット上の利益が無効化ないしは侵害されたと認めるときには,紛争処理の第1段階としての協議に持ち込める旨規定している。
ECは無違反案件(non-violationcase)についてはその特殊な性質に鑑み,2国間交渉によるか,あるいは調停によって解決が図られるべきであり,通常の紛争処理手続によるべきではない,と主張している。

これは農産品をめぐる紛争に深く関連すると思われ,米国やオーストラリア等は無違反案件だけを特別扱いするような手続規定は不要としている。

紛争処理をめぐる交渉には,当初より法の支配を強化したいとする米国とガットの紛争処理を裁判所のようなものにしたくないとするECとの駆け引きという要素があった。


理事会におけるパネル報告の採択については後述のウルグアイ・ラウンド交渉のなかで改善されようとしている。

また,同交渉のなかではパネル設立の迅速化や付託事項(terms of reference)の標準化等手続を全体としてスピードアヅプするための方策がまとまりつつある。

また,パネル勧告の順守については,ジャクソンの調査によれば,利用可能な情報がある117件のうち,8から10件のみがパネル報告の勧告に従っていなかったとされている。

このなかには,ウルグアイ・ラウンド交渉での解決を待っている案件も含まれていると考えられ,国際紛争の処理実績としてはけっして悪くないといえよう。

法制度や経済構造の異なる諸国間の通商紛争を取り扱うガットの紛争処理で各国が必要としているのは,具体的な問題に対する現実的な解決と和解(conciliation)であり,ガット上の義務との法的整合性はその手段として用いられることが多い。

 実際の運用においては,たとえばパネリストの選出についても紛争当事国双方の合意が得られた人しかパネルを構成できない。

従来の手続きによると,パネル報告が作成されて理事会に報告されても,決定や勧告の内容に不満をもつ関係国が反対すれぽ理事会はこれを採択できない。

通常,このような状態は不利な条件にある締約国による「時間稼ぎ」と理解されがちであるが,実際には当該国政府が国内での調整にある程度の時間を必要としていることの証左である。

実際に理事会に提出されたパネル報告のほとんどは何回かの理事会における討議を経た後採択されている。

従価税は輸入品価額の5%というように,価額に基づいて課税されます。

したがって,輸入品の価格が下がれば,それにかかる関税も下がります。

従量税は一部の1次産品に,輸入価格の変動対策として課されています。

従量税は,キロ当たり250円というように,輸入品の重量に基づいて課され,関税の額がキロ当たり一定で変わりません。

輸入価格が低下しても変わらないのです。

また,従量税は低品質,低価格品には相対的に高く,高品質,高価格品には相対的に低くなります。

良いコメだろうと悪いコメだろうと,キロ当たり同額の関税が課されるからです。

価格がとくに低いコメの輸入対策ないしは国際価格が下落したときの対策として有効です。

2次関税が高率であると,数量制限に近い効果を上げます。

この制度は,関税割当(低い1次税率を適用)を通じて輸出国の利益に考慮を払いつつも,高い2次税率で国内産業に保護を与xたいときに使われます。

適用例は少なく,例外的に使われる関税といえます。

ダソケル案は,コメのように輸入実績がほとんどない品目について関税割当制度を採用し,ミニマム・アクセスを関税割当の形で輸出国に与えることを提案しました。

これは輸出国の立場を考慮しながら,日本などのむずかしい立場にある国の事情を十分尊重した結果です。

この苦心を日本は理解すべきでしょう。

どうして従価税よりも従量税を採用することを勧めるのですか。

関税の大部分は従価税で,従量税よりはるかに広く使われています。


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