2014年3月アーカイブ

大げさにいえば、普通の栽培方法の野菜の箱に、そういった表示をしたって、だれからも文句をいわれるものではない。

表示のやり得ですらある。

有機栽培自体の基準がまるっきり設けられていないからだ。

たとえば、良心的な「有機栽培」表示のものでも、つぎのような実態であることが多いのだ。

稲ワラをすこしだけ使って、あとは化学肥料をタップリ。

モミがらを土の上に撒いただけ。

農薬を使っても有機農薬なのである。

早朝散歩の途中、自宅がある西新宿周辺のスーパーマーケットのわきをとおって、感心してしまった。

あるわ、あるわ。

「有機栽培実施」とか「特別有機栽培」などと大書きされた野菜・果物の箱が、山と積まれている。

赤や青の目立つ色で書かれていたり、なかにはピカピカと光るシールが貼られているものまである。

子どものビックリマン・シールさながらの光景だ。

現在、有機栽培などと表示するのにあたっては、これといった規制が何もない。

種苗会社(残留農薬検査)

研究グループによって、PCNBが最高に検出されたときは、種苗会社の方向が風上になっていることが判明した。

この種苗会社では、タネの乾燥や包装作業などを行なっていた。

この種苗会社のタネ、二〇品目を分析調査したところ、輸入ものの牧草のタネ四品目から、○・三二から三・三ppmのPCNBが検出された。

殺菌処理剤として使われたPCNBが作業中に揮発して、付近の大気に混ざってしまっていた、と研究グループでは分析している。

こうしたさまざまな原因による大気汚染は、現在まったく規制が行なわれていないのである。

まさに日本のズサンな農薬シーンを象徴している事実ではないだろうか。

また、昭和五四年六月には、前橋駅付近で、吐き気、喉の痛み、顔の発しん......などを訴える人が続出した。

患者は、市内の青山美子医師によって診察されたあと、長野県佐久総合病院での診察で、毒物による急性症状であることがわかった。

青山美子医師は、市内にある種苗会社で行なわれていた倉庫の解体作業が原因である、と判断を下した。

倉庫の中の有害物質が空気中に広がってしまったのだ。

ところが、その後も毎年夏になると、種苗会社の周辺住民が頭痛、関節痛などを訴えた。

そこで昭和六〇年に、研究センターが市内古市町の青山医院で大気の農薬汚染を調査した。

すると、催奇形性・発ガン性のあるPCNBがときどき検出された。

気温が高くなる昼間のほうが揮発が活発になって、確実に濃度が高くなってくるのである。

研究センターでは、福島県福島市の信夫山、群馬県沼田市の三峰山でも、スミチオンの空中散布による市内の大気への影響を調査している。

やはり市内の各所でスミチオンが検出されている。

そして、その濃度が10分の1になるまでには、最低でも一週間以上もかかっているのだ。

どちらも市内のはじっこにある小高い山での空中散布で、市民全体が農薬を含んだ空気を吸わされることになってしまっている(高崎市は六三年五月に中止を決定)。

空中散布は夜明けからの数時間行なわれたが、当日、観音山で農薬を浴びなければ安全、という考え方はまったく成り立たない。

これまでの常識はくつがえされたのだ。

しかも市内の大気中のスミチオンの濃度は、観音山から約1000メートルも離れた地点で、六時間後の一二時五五分には二七〇ミリグラム/立方メートルに達していた。

散布されたスミチオンが、ふたたび大気中に漂いはじめることが原因だ。

空中散布を実施した各農業関連団体では、人体に影響のないレベルである、大気中の濃度はきわめて希薄である、といっている。

しかし、木村啓一医師は、患者の診察結果こそ大切である、散布量を基準どおりにしているから安全と割り切ってしまうのは危険である、と指摘している。

また、群馬県の高崎市、観音山では、松枯れ病の原因とされるマツクイムシの防除のために、殺虫剤のスミチオンを空中散布している。

時期は毎年六月初旬。

研究センターの花井氏らの調査は、昭和六〇年六月、散布日の前後に行なわれた。

その結果、市内各所の大気中から、スミチオンが検出された。

そして、散布後四日が過ぎても、場所によっては散布当日とほぼ同様の濃度のスミチオンが検出されたのである。

新潟市内で開業医をしている木村啓一医師は、去年、空中散布による農薬中毒の被害者を何人も診察している。

農家ではなく普通に生活している主婦、若い娘、お年寄り等が、激しい吐き気、頭痛、下痢、喉・眼などの痛みを訴えてきた。

新潟市周辺の街で暮らしている人たちだ。

多くの人が、空中散布の現場にいなかったにもかかわらず、農薬中毒の症状を示しているのだ。

体の弱い人が、真っ先に農薬の影響を受けたわけである。

農薬による大規模な大気汚染は、野菜の産地に限らず、都市部にも攻めよってきている。

そして過敏な人は、真っ先に被害を受けてしまっている。

さまざまな排気ガスによって汚染されている都市部に、さらに農薬ガス汚染が追いうちをかけてきているのである。

そのもっとも大きな悪玉が、すでにおコメの栽培では定着しているヘリコプターによる農薬の空中散布だ。

野菜ではいまのところほとんど実施されていないものの、今後は生産効率を上げるために登場が予想されている。

とにかくそこかしこで、農薬が、都市全体を覆ってし'まっているのだ。

たとえば、コメどころの新潟県は日本海に面した蒲原平野、そこに一面に広がる水田では、有機リン殺虫剤などの空中散布が頻繁に行なわれている。

ボクたちの身のまわりには、危険な物質がいっぱいある。

危険物質というプールの中で生活している、といってもいいかもしれない。

できることなら、危険な物質とはかかわりをもたずに生活していくのが理想である。

しかし、それはもうまったく不可能なのが、現在の人間社会だ。

そして、この地球に暮らす何十億という人類がおかれた立場である。

たくさんの人間が知恵をしぼった結果のひとつとして、ここ一世紀ほどの短期間にさまざまな科学技術が発達した。

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