2013年8月アーカイブ

この年の調査では、日頃コメを購入する店はスーパーがトップで二八%、米穀専門店は一〇%にすぎない。

1995年に新しい食糧法が施行され、コメを扱える店の要件が大幅に緩和される以前には、消費者のコメ購入先の三分の一は米穀専門店だったことを考えると、流通段階での規制緩和も、コメを「普通の商品」にする手助けをし、コメの低価格志向を助長したのだろう。

どんなコメを購入しているかを同じ調査でみると、一つの産地品種一〇〇%の単品米を買う人がやや減り、ブレンド米を選ぶ人が急増している。

「十年不況」といわれるくらい経済が低迷し続けているのだから、当然といえば当然なのだが、コメの世界でも消費者の低価格志向がハッキリしてきた。

農水省が毎年行なっている食料モニター(世帯員二人以上の消費世帯の主婦)調査によると、2003年調査では「購入するコメの種類を安いものに変えた」世帯が二四%もあった。

また「購入するコメはほとんど特売日に」という回答が二三%も。

「少しぐらい値段が張ってもおいしいコメを」という傾向は薄れつつあるのだろうか。

長い統制経済の間に完全に崩壊してしまった民間の米取引を、一からつくろうとしたためのムリがある。

「産地品種銘柄」もその一つで、歴史の浅さからいっても、コメのおいしさ判定の不確かさからいっても、いつまでも続く仕組みとはいえないだろう。

最近、コメの消費市場にちょっとした変化が起こっている。

低価格志向と高付加価値米ブームである。

消費者行動としてみると、両極分化のようにもみえるこの二つの現象は、過度なブランド志向をたしなめる方向へと発展するかもしれない。

有機残留農薬検査対応農業、自然対応農業など、いろんな名前の農法はあっても、そこに厳密な定義や決まったやり方はない。

ましてや、二~三年間無農薬、化学肥料なしといったところで、地域や環境によって、もともと農法のやり方は千差万別である。

土壌も違うし、農薬の使い方も違う。

そこに全国一律の基準で、有機野菜はこうだから安全だとか、おいしいとかいっても、それが品質保証になるわけではない。

有機残留農薬検査対応農業を名乗る当の農家だって、わからないことだらけだろう。

自然にのっとった農学への道は遠い。

すべては発展途上なのだ。

残留農薬検査
微生物あるいは小動物の作業によってつくられた無機の、生命のあとのない元素を素材にして、再び生命のサイクルに糖分、タンパク質、その他を合成しているのである。

となると、有機対応農業とか有機栽培という定義そのものもわからなくなる。

ましてや「三年間化学肥料なし」などという根拠はどこにあるのか。

これまでの公害問題とか、農薬の薬害の歴史から、「有機残留農薬検査対応農業」といわれるものをそれなりに評価し、基準を設けておかなければならないと、農水省の役人たちが米国などの先例をみてつくったのが「有機栽培」のJAS基準である。

残留農薬検査
また、通常の農薬使用を半分以下としたものは「減農薬栽培」、農家が自己申告で農薬を使っていないとするものは「無農薬野菜」と表示してよい。

現在、約二〇〇〇の農家、団体が農水大臣登録の認定機関から認定された「有機栽培」を行なっている。

三年間、化学肥料や農薬を使わなければ「有機」と名乗ることができる。

だが、最終的には木の葉であれ牛糞、人糞であれ、どんな有機物質といえども、そのまま植物、生物が取り込むことはない。

会員は農家、消費者など約三〇〇〇人。

そこでも、明確な定義はしていない。

一般には堆厩肥(家畜などの糞尿や落葉、台所クズなど有機物を肥料にしたもの)を使い、化学肥料、合成農薬を使わない農法で野菜、穀物、果物を栽培するものを有機対応農業と呼んでいる。

農水省が2001年4月から定めたJAS法による規定だと、「有機農産物は、果樹など多年生農産物は収穫前三年以上、その他野菜、米麦などは播種・定植前二年以上、化学肥料、農薬を使用しないもの」となっている。

残留農薬検査
1990年センサスから日本も、経営耕地面積が三〇アール以上または農産物販売額五〇万円以上の「販売農家」と、三〇アール未満でかつ農産物販売額五〇万円未満の「自給的農家」に区分し、農政の主な対象を販売農家にあてる姿勢をとっているが、食料生産者としては零細な対応農業まで農家とみなし、残留農薬検査対応農業政策の対象にしようとしていることは変わらない。

日本の農家は321万戸(2000年センサス)というけれど、このうち経営耕地面積が一ヘクタール未満の農家がいくらあるかというと二一四・七万戸もある。

残留農薬検査
言葉だけの問題ではない。

EU(欧州連合)で残留農薬検査対応農業統計や対応農業政策の対象になる経営単位は「原則一ヘクタール以上の残留農薬検査対応農業経営およびその他の経営でも農産物の販売を行なうもの、ただし自給的生産者は除く」となっている。

かつて日本では「経営耕地面積一〇アール(110ニヘクタール)以上の残留農薬検査対応農業を営むか、それ以下であっても農産物販売額が年間一五万円以上の世帯」を農家としており、とらえる規模が一桁ちがう。

残留農薬検査
欧米先進国には「農家」という日本語にピッタリする単語がない。

残留農薬検査対応農業を農家単位で考える日本の習慣は、どうも日本独特のものであるようだ。

英語圏諸国では、対応農業経営の主体をファーム(h母ヨー1農場)で考えるのが普通で、「イエ」とか「世帯」でとらえない。

家族経営でやっている農場をファミリー・ファームとはいうけれど、日本の農家に近いファーム・ハウスホールドということはごくまれだ。

残留農薬検査

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