2014年8月アーカイブ

しかし、一人当たりの穀物消費量というのは非常に大きくふえています。

その結果として、自給率は急速に低下している。

これは、この国は工業製品によって外貨を稼ぐことができる国になってきておりますので、その外貨で食糧を買うことができる、こういうことになっています。

そして栄養水準もよくなっている。

今、世界の食糧の需給関係をみてみますと、このような形である程度経済力がついてきている開発途上国というのは、もっぱら先進国から食糧を買って自分たちの栄養水準を高めていく。

ところが、それができない国は国内生産が低下すると、その分だけ栄養水準を引き下げなければならないような状況に置かれている。

こういうのが現状ではないかと考えられるわけです。

たとえばインドは、先ほど申しましたようにかなり生産を伸ばしております。

こういう国は生産量が伸びておりますから、それだけ消費量は伸びている。

したがってまた自給率も大きくなっている。

今まで輸入していたものを輸入をやめて国内生産で賄えるようになってきた。

そして栄養水準もある程度改善している。

ある意味ではこれが一番望ましい姿だということができます。

一番下の上位中所得国をみてみます。

ここに入っている国は香港、マレーシア、韓国、シンガポールです。

香港とかシンガポールというのは農業的には非常に小さな国ですから、生産的には問題になりませんけれども、韓国、マレーシアというのは食糧生産がかなり重要な地位を占めている国ですが、これらの国は、一人当たりの穀物生産量はこの10年間にむしろ低下してきています。

たとえば、アフリカのサハラ以南の諸国、飢餓の問題で大きく話題になっている国は今でも人口の増加率は三%を示しております。

そして、食糧の生産はあまり伸びが大きくはないわけです。

ですから、ここに書いたように、絶対数にしましても、あるいは相対的な数にしましても、飢餓人口がふえている唯一の地域になっているわけですが、そういう貧乏な地域では飢餓の問題が残されている。

これは、全般的な問題ではなくて、ある特定な地域、地球上のポケットに飢餓が残っているのだ、こういうことになると思うのです。

これも現在の非常に大きな問題だといわざるを得ないわけです。

この飢餓の問題に対して、一方において、過剰によって農産物価格が非常に安くなっている。

現在、世界の人口は五〇数億になっているわけですけれども、2000年段階には六〇億を超すということが予想されています。

しかし最近は、先進国もそうですし、開発途上国も、かつて人口爆発といわれたころに比べますと、人口の増加率は落ちてきております。

そういう意味では、ある程度将来に対して希望がもてるようになってはおりますけれども、依然として人口はふえてきているわけです。

人口と食糧の生産の問題は地球全体からみると、平均的な数値でいえば、生産の増大の方が人口の増加率を上回っておりますので、解決の方向に向かっているということはできますけれども、ある地域、とくに最も貧しい国では、依然として農業の生産、食糧の生産の伸びというのはきわめて停滞的なわけです。

それによりますと、FAOは、その当時の開発途上国の生産予測は、平均して開発途上国全体で年率二・七%程度の割合で生産が増えるだろう、その中でも比較的生産が伸びると考えられているのはラテン・アメリカとアジア諸国で、生産の伸び率が二・八%ないし三%という予測をしています。

ところが、その後10年たってその結果がどうであったかといいますと、開発途上国全体としては生産は二・七%の予測に対して三・四%の増加という、予想を上回る結果になりました。

地域的にみますと、ラテン・アメリカは三%と予想されておりましたけれども二・九%、ほぼ予想に近いけれども若干それより低い状況にとどまっている。

それに対してアジアの予測は二・八%ですが、四・○%というかなり急速な増大をしているわけです。

世界のすべての国が食糧の増産に積極的に力を注いだわけです。

その世界食糧会議でいくつかの決議が出されてますが、その中でもやはり、世界の食糧の増産のために先進国はもちろん、開発途上国も努力するし、開発途上国のそういう努力に対しては先進国は援助を惜しまないのだということが決議されています。

当時の情勢はこのようなものでした。

しかし、現実にはどのような変化をしてきたかというと、かならずしも予想どおりにはなっていないわけです。

とくに開発途上国の中でもアジア諸国は非常な勢いで食糧の生産を伸ばしております。

世界食糧会議の後、FAOが中心になりまして『2000年の農業』という作業をして、1981年にその報告書が出ております。

最後に横のほうに書いておきましたが、先ほども申しあげましたように、既存統計がとくに食料問題については通じません。

それはなぜかといえば、先ほど家計調査ということを申し上げましたが、調査の単位が家計なのです。

ところが、皆さんご存じのとおり、DINKSなんていうのが出ている。

かなりの家庭がダブルインカムなのです。

ポケットが二つある、あるいは三つあるというような状況です。

そうしますと、これは家という単位でとらえたら、統計は役に立たない。

やはり個人に着目しなくてはならないということで、最近いろいろな調査をやらせていただいておりますが、われわれの調査の手法、及び結果の解析方法につきまして未熟なところがございまして、まだわからない点もございます。

食事が、朝、昼、晩ではない。

二四時間食事の場面だというのがわかってまいりました。

大変な変化が起こっております。

こうなりますと、お米も大変です。

ちなみに、なぜお米が減っているかというときに、皮肉で申し上げたのですが、お米というのは電気炊飯器ができましてかなり簡単になったとはいいますけれども、やはりマニキュアをした手でとがなければならない。

マニキュアを汚すのはもったいないから、とぐのはやめましょうということになるのではないか。

そういう生活様式なり何なりの変化というのは、やはり個々にかかわってくるかもしれない。

それでいけば、なぜセブンイレブンのいなりずしが売れるかが分る。

セブンイレブンのいなりずしは、マニキュアをした手を汚さずにすみます。

現在はおそらくこれよりはちょっとふえていると思いますけれども、ここに書いておりますのは一年間に日本人が払う飲食費支出ー食べものに支払っている総額は昭和60年では五八兆円でございましたというのが、一番右側に示してあります。

おそらく現在段階でみれば、六〇兆円は超えているだろうと思います。

ちなみに現在わが国のGNPは、だいたい80兆円ぐらいでございます。

そのうち、いわゆる消費支出の部分はだいたい一七〇兆円ぐらいでございますから、それで割っていただきますと、マクロのエンゲル係数というのがわかるわけです。

六〇兆円を一七〇兆円で割りますから、だいたい二七%ぐらい.これがわが国のマクロのエンゲル係数ということになるわけです。

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