2014年7月アーカイブ

この点につきましては、おそらく生産者の方々も、消費者の方々も、ほとんど正しくご理解していらっしゃらないだろうと思います。

これを何でつくりましたかといいますと、じつは、産業連関表という難しい表がございまして、それはある一年間の日本経済の活動を、縦横すべてにとらえるという大変難しい作業でございます。

これは現在のわが国の場合ですと、大蔵省、農林水産省、通産省、経済企画庁をはじめとした11の役所がかかわりまして、だいたい四年ぐらいの期間をかけて作業してつくりあげるという、大変膨大なものなのであります。

ここに書いておりますのは、その昭和60年の産業関連表を使いまして、解いてみたものでございます。

話の順番といたしまして、まずシステマティックに物事をとらえる場合にどうしたらいいかということを最初に申し上げます。

私の考え方は、じつは従来の農水省、あるいは農業政策担当者がとってきた立場と、かなり視点が違うわけでございます。

たまたま、ここ五~六年ぐらい、私どもの主張がいろいろな方面で注目を集めているわけですが、私の視点というのは、食べる側から出発するという考え方をもっております。

さらに、数学的にいいますと二項対立というのがあるのですがー、正規分布をした場合に、左右を対照的にみて対峙させるということを二項分布、あるいは二項対立というとらえ方をしますが、右か左かとか、あるいは生産者の立場、消費者の立場といったような形で、対立的に物事を眺めるのではなくて、そこにどういう調和の方法があるかという視点で眺めてみたいというのが、私の立場なわけであります。

SEC規則に基づいてEC企業の出荷品には課税せず、日系企業のEC域内出荷品のみを課税する差別措置がとられたため、日本は本件をガットに提訴した。

この措置はガット第3条に定める内国民待遇違反と裁定され、ECは規則改正をウルグアイ・ラウンドの妥結を待って行なうこととしている。

新ダンピング・コードは次の3種類の迂回措置について、対抗措置としてAD税を課すことを認めた。

(1)輸入国迂回一輸出品に対する課税後、部品組立工場を輸入国に移転して課税を回避(第12条)
(2)第三国迂回一輸出品に対する課税後、部品組立工場を第三国に移転して課税を回避(第10条5項)
(3)カントリー・ホッピング(countryhopping)一輸出品に対する課税後、第三国からの輸出に振り替えることによって課税を回避(生産設備の移転をともなわない)(第10条4項)
迂回対抗措置の行過ぎは正常な投資活動を抑制し、途上国の工業化の障害になりかねない。

P米国ではAD税の課税を逃れるため、輸入国あるいは第三国に生産工場を移転してそこから製品を販売する迂回行為に対し、一定の要件のもとで新たな調査を行なうことなく当初のAD税を拡張適用する規定がある。

その要件が暖昧であるため、正当な投資活動をも課税の対象にしかねない。

タイプライターの米国生産およびカラーテレピ用ブラウソ管のメキシコでのテレビへの組み込みの2件について、不十分な情報に基づいて調査が開始され、課税には至らなかったが、被提訴企業がきわめて大きな損失をこうむった。

ECの規則にも、米国と異なった迂回防止規定が導入されており、1987年に複写機等4品目について迂回防止措置がとられた。

米国では1970年以降に課税命令が下され、現在も課税中の57件中20件が10年を超えて課税されている。

日本製カラーテレビの場合は20年以上継続され、その間特殊仕様のものを除き大半は米国内の生産に切り換えられた。

S新コード第11条1項は、AD税は損害を発生させているダンピングに対抗するために必要な期間と範囲に限ってのみ課税されるべき旨規定している。

同条2項は、関係当局は自らの発意または利害関係者の要請に応じて、課税継続が必要か否かについて見直しをすべき旨規定している。

同条3項は、AD税が課税開始時(または見直し時)から5年以内に失効する旨規定している。

ただし、関係当局が失効前に見直しを行ない課税継続が必要である旨を決定する場合はその限りではない。

同条4項は、見直しが迅速に行なわれ、通常開始後12ヵ月以内に終了されるべき旨規定している。

行政見直し(administrativereview)の遅れ
P米国においては、課税の見直しは調査開始後1年以内に最終結果を出すことになっている。

米商務省は1990年に手続きを迅速化したが、依然として相当数の見直し手続きの執行が遅れている。

また、それが原因となって課税の還付および撤回の手続きに遅れが生じている。

日本製ベアリソグおよび日本製ローラーチェーンについては、10年以上たっても調査の最終結果が出されていない。

サンセット条項(sun-setclause)の欠如
PEC、:オーストラリア、カナダなどは、AD税が一定期間経過後自動的に失効するいわゆるサンセット条項をもっている。

しかし、米国にはそれがなく、課税命令の効力に期限がない。

行政見直しにおいて3年間ダソピング輸出がないと確認されるか、見直し要請が4年間なされない場合等に課税を取り消しうる制度があるが、行政見直しが遅れているため必ずしも有効に機能していない。

他方、途上国は輸入者側の立場になることが多いため、カラーテレビの輸入者に対し内蔵する半導体チップが模造品か否か承知しておくべき注意義務を課すのは酷であると主張した。

現に、半導体チップの回路は目に見えぬものである。

したがって模造チップ組み込み製品の輸入を侵害行為とすることに強く反対した。

その結果、権利者が侵害の警告を輸入者に行なうことを分岐点とし、それ以前の既発注品や在庫品はローヤルティを支払うことにより続けて輸入できることとされた。

しかし、それ以降の発注品の輸入は違法行為となる。

(2)保護期間については、「8年以上」が「10年以上」にレベルアップされた。

(3)強制実施権については、特許権の部分で述べた発動条件を準用しており、ワシントソ条約よりも厳格な条件が設定されている。

1989年5月に成立したワシントン条約は、全世界の生産量のほとんどを占める日米両国を中心に、先進国がその内容が不満として批准していないため、未発効となっている。

本協定では、先進国の不満点に配慮し、ワシントン条約の保護水準に上積みするいくつかの重要な規定が次のように盛り込まれた。

(1)侵害警告後の半導体チップ組み込み製品輸入者に対する損害賠償請求は、ワシソトン条約に規定がなかった。

そのため、わが国企業が開発した半導体チップにつき、その模造品をA国で製造し、その模造チップが組み込まれたカラーテレビを、それと知らずにB国に輸入する者に対して、わが国企業が侵害を訴えても救済されないことが想定された。

第3部は権利執行手続(enforcement)である。

第1章の一般的義務は全章に係る規定であり、その上に第2章民事・行政上の手続きおよび救済措置ならびに第3章暫定措置の規定が積み重ねられている。

第4章は国境措置(水際措置)に関する規定であり、その位置づけから特別規定である。

第4部の知的所有権取得および維持手続等の規定は、時間の流れからすれば第2部基準と第3部執行との中間に位置するものである。

迅速な権利設定がないと次の段階である権利行使ができないとの観点からすれば、胴体である基準とその手足である執行をうまく連結するための関節にあたる。

全体の構成
交渉の初期に問題事例が提出されて、保護レベルと権利の執行手続についての制度の不備が指摘され、その双方を律する国際ルールが必要との立場を先進国がとった。

したがって、協定の取り扱う範囲は包括的なものとなった。

第1部は、従来のガットがモノの貿易についての規定であったので、新たに知的所有権の世界に適合させるため、ガットの基本原則を書き下ろしている。

第2部は、保護レベルのミニマム・スタンダードを規定している。

全8章からなるが、最後の章を除く1~7章が知的所有権と認知されたものである。

国際ルールとして知的所有権の種類を列挙したのはTRIP協定が最初である。

非公開情報(tradesecret)などを知的所有権に含めることについては異論もあった。


1991年秋には本格的な交渉が再開され、残された論点につき規定振りを工夫することにより解決していく努力が続けられた。

この結果、同年12月20日、5年有余の交渉の成果としてTRIP協定案を含めたURの最終合意案が提示された。

この合意案では、両論併記が改められ、先進国案が途上国案を吸収合併したものとなった。

紛争処理はガットの紛争処理手続に従うとされており、その後の交渉で多角的貿易機関(MTO)のもとで統一される紛争手続を使うことが明記された。

このような構成について、途上国から表立った反対はなかった。

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