2013年10月アーカイブ

日本ではそれまで検疫の際に使われるくん蒸剤と防カビ剤を除いて、作物の収穫後に農薬が使われることはなかったからです。

その防カビ剤も、かんきつ類を輸出するためにアメリカが日本に食品添加剤として認めることを強要したいきさつがあります。

一時期、ポストハーベスト農薬の使用はひどい状況でしたが、世論の影響もあり使用は控えめになりました。

しかし、現在でもジャガイモや小麦からクロルプロファムやマラチオンの検出があり油断できません。

また、クロルピリホスなどが高濃度で検出される背景には、ポストハーベスト処理にきわめて近い使い方がされている事実があると疑われます。

ポストハーベスト農薬と呼ばれる理由は、収穫後の農作物の腐敗や発芽の防止、殺虫などを目的に、農薬処理することをポストハーベスト・アプリケーション(処理)と呼ぶことにあります。

輸入農作物のように条件の悪い輸送船で、長期間かけて運ばれてくると、発芽したり、虫がついたり、カビがはえるなどして品質が悪くなります。

これを防ぐために、収穫した後に殺虫剤や殺菌剤、防カビ剤など農薬をふりかけているのです。

1980年代後半に、アメリカ産のサクランボ、イチゴ、小麦などにポストハーベスト農薬が使われていることがわかり日本の消費者は衝撃を受けました。

具体的には、当該都道府県内に栽培されている主要農作物について、主要病害虫の耕種的防除法や薬剤による防除法(使用すべき農薬名と使用時期・希釈倍数など)などを示し、これに基づいて農家の指導に役立てています。

しかしこうした法的規制や行政指導にもかかわらず、農産物や食品への農薬残留はなくなっていません。

検疫所による輸入農産物の検査や、市場や小売店に対する食品衛生監視員の抜き取り検査等で、違反の農薬残留が発見されることがあります。

法的規制はあるものの、十分に実効性が確保されているのか疑問があります。

制度自体の妥当性とあわせ、法の運営や体制についてもチェックすることが必要です。

このような規制をしても、農薬を使う人(主に農家)が間違った使い方をしたりすれば、食品となるべき農作物に農薬が残留したり、時には農家自身の健康障害を招いたりします。

このため国は農薬安全使用基準を定め、農薬の種類ごとに使用時期・方法などを公表して、農薬を使用する者がこれを順守することが望ましいとしています。

これを受けて、都道府県でも同様の基準や指針(たとえば農薬安全使用指針や農作物病害虫防除基準など)を公表し、農家に対する農業技術の指導機関である農業改良普及センターや農協営農指導員などのテキストとしています。

残留農薬と法律(残留農薬検査)

野菜などに農薬が残留しないように、法的にはどういう決まりになっていますか。

農業の現場では、作物の病気や害虫を防除するために農薬を使うのは普通のことです。

しかし野菜や果物・畜産製品などの食品に農薬が残留しているとすれば、それを食べる人間にとっては有害です。

このため食品衛生法では、第4条で「左に掲げる食品又は添加物は、これを販売し、又は販売の用に供するために、採取し、製造し、輸入し、加工し、使用し、調理し、貯蔵し、若しくは陳列してはならない」とし、その第2項で「有毒な、若しくは有害な物質が含まれ、若しくは附着し、又はこれらの疑いがあるもの。

但し、人の健康を損うおそれがない場合として厚生労働大臣が定める場合においては、この限りでない」としています。

コメや野菜や果物など農産物(食品)に農薬が有害・有毒な程度まで残留していれば、この条文に触れるわけです。

今後はこれらにも批判が強まることでしょう。

そこで浮かび上がってくるのが放射線照射です。

放射線で害虫やカビを殺したり発芽を防止する技術は、日本ではジャガイモの芽止めだけに認められています。

しかしアメリカでは、食肉の照射にまで利用されています。

韓国や中国も利用が進んでいます。

最近、日本でも輸入業者が、香辛料への放射線照射を認めてほしいと国に要請しています。

世界保健機関(WHO)は、食品の安全上問題ないといっていますが、危険を指摘する研究者もいます。

それだけに国民的合意がないまま、食品への放射線照射が全面的に行われることのないよう、公開の論議を進める必要があります。

しかし、規制を逃れようとするのは条約の精神に反することです。

たしかに臭化メチルは病害虫防除の万能薬です。

対象病害虫は多岐にわたり、使いやすい、価格が安い、効果が高いということで、農家にとっては手放せない農薬です。

しかしこの機会に、過度に農薬に依存した農業から、環境にやさしい持続可能な農業に転換することも必要ではないでしょうか。

検疫でくん蒸用に使用される臭化メチルと出荷前処理に使用される臭化メチルは、削減対象から除外されています。

輸入農産物の検疫くん蒸で使用する臭化メチルは1600tにもなります。

またアメリカやニュージーランドからわが国に輸出されるリンゴやサクランボは、現地で臭化メチルによる消毒が義務づけられています。

物理的防除:太陽熱や蒸気で土壌を熱消毒する。

生物的防除:天敵などを導入して病害虫を駆除する。

このほか、病害虫に対する抵抗性品種の開発も考えられていますが、なかなか決め手はありません。

それだけにモントリオール議定書の例外規定の「農業用に不可欠な用途」である、
(1)臭化メチルを使用しないと病害虫による経済的損失が大きい。

(2)代替技術の開発に努めたが、うまくいかない。

(3)放出される量を最小限にする努力がなされている。

という3つの条件をなんとか満たして、適用除外を受けようとする動きもあります。

その後の会議で臭化メチルの削減スケジュールが決められ、先進国は2001年には91年の生産・消費量の50%以下に減らすこと、2005年1月1日までに臭化メチルを全廃することになりました。

代替技術は差し迫った臭化メチル全廃期限を前に、研究機関は懸命に代替技術の開発を行っています。

炭酸ガスを利用した土壌の消毒も試みられましたが、なかなか困難なようです。

臭化メチルに代わる方法としては化学的防除:臭化メチルの代わりとしてクロロピクリンを使用する。

臭化メチルの禁止で、いっそう危険な農薬が使用されるのではないですか。

臭化メチルを土壌くん蒸剤として使用すると、土の中の線虫や害虫などが全滅するので、農産物を安心して栽培できます。

その効果は大きく、ショウガ、メロンの栽培などには欠かせない農薬です。

植物検疫では、輸入農産物に付着した害虫のくん蒸に使用されます。

またコメの害虫駆除によく使われ、輸入米に残留していて問題になります。

臭化メチルはフロンに次ぐオゾン層破壊物質で、1992年の第4回モントリオール議定書締約国会合でオゾン層破壊物質に指定されました。

間接的に病気の牛あるいは羊の死体を食べたことになり、サイクルで爆発的な流行が起きてしまいました。

ところで、「注射された場合はともかくとして、食べた場合はPrPbseもタンパクなんだから消化液に分解されてしまうので大丈夫のはず...」とお考えの人もおられると思います。

しかし、厄介なことにPrPbseは加熱やタンパク質分解酵素にも強い抵抗性を持っていたのです。

日本では、2001年9月に1頭のBSE罹患牛が発見されたのに続き、現在までに7頭の病牛が確認されています。

PrPbse汚染好発部位は脳、脊髄、目、胸腺、腸、脾臓などで、食肉となる筋肉や牛乳中には出てこないのでいたずらに恐れる心配はありませんが、脊髄から分岐した太い神経が含まれる可能性があるTボーンステーキや扁桃(脾臓や胸腺と同様のリンパ系器官)に近い舌は避けたほうがよいとする意見もあります。

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