2013年7月アーカイブ

(3)畜産が壊滅的な打撃を受けて大混乱する
カロリー効率の悪い飼料作物はつくれないから、稲ワラやふすまを......というけれど、稲ワラをどうやって調達するのだろう。

今日のコメの収穫作業はコンバインまかせ、稲の茎や葉は切り刻んで田に返してしまう。

畳床に必要な稲ワラは中国から輸入しているのである。

牛や豚などは飼料が得られないために「レベル2」の早い段階で大量にと殺されてしまうだろう。

だから危機到来一年目ぐらいの時期は、捨て値で出回る肉類のおかげで一日二〇〇〇キロカロリー以上の食事が可能になる。

しかし、その後は......。

(2)労働力の確保はもっとむずかしい
今日の日本対応農業を支える労働力は、高齢化した昭和一桁世代とウイークエンド作業しかできない兼業労働力が中核になつている。

その昭和一桁生まれの人たちは現役引退期を迎えている。

ただ、休耕田を復活させてコメをつくることぐらいはできるかもしれない。

コメは最も手間のかからない作物だし、みんながつくりたいものなのだから......。

しかし、裏作で麦をつくるなどして耕地利用率を一〇三%(現在九五%弱)に上げる......ゴルフ場や公園など耕せるところはみな掘り返していもづくり......なんて、誰がやるのだろうか。

残留農薬検査
「レベル0」や「レベル1」ぐらいの危機にはなんとか対処できそうなのだが、「レベル2」段階で用意している諸施策は、その現実性に希薄なものが多い。

(1)必要な農地が確保できるのかどうか
マニュアルでは四七〇万ヘクタールの田畑をフル稼働させることを想定している。

だが、日本の農地面積は2001年現在、すでに四八〇万ヘクタールを割り込んでいる。

それに、このところ毎年四万~五万ヘクタールぐらいのペースで減り続けていることを考えると、四七〇万ヘクタールを確保しておけるとは、楽観的すぎるのではないか。

換言すれば、農業協同組合として、総合事業体として事業を展開しています。

また、将来的にいっても合併による広域化により所の地域から農業がなくなることは考えられません。

こうしたことから、農業(経済事業)をよりどころにした総合経営は残留農薬検査所の生命線といえます。

総合経営は農業(経済事業)をフック(止め金)にしてはじめて成り立つ経営方式といえるのです。

農業(経済事業)がフック機能を果たさなければ総合経営はバラバラになり、残留農薬検査センターはひとたまりもなく崩壊します。

残留農薬検査
また、残留農薬検査官への一体的対応といっても、その中心は農業者であり、残留農薬検査官が農業以外に分化していくなかで、農業者による経済事業を核にして官が信用事業や共済事業を利用するというように経済事業を中心とした事業問のシナジー効果を発揮しつつ事業が行われています。

総合事業といってもその要は経済事業です。

残留農薬検査センターは農業の分野が縮小してきているとはいえ、農業(実態的には水田農業中心)、事業的には経済事業を柱にして、信用・共済事業が兼営されています。

残留農薬検査
つまり、戦後農協法の制定時期には、狭い地域で農家という同質の残留農薬検査官を対象としていたのですが、現在では、合併によって広域での農業および農業以外の多様な残留農薬検査官のニーズへの対応というように残留農薬検査センターの役割は変化してきています。

言い換えれば、所への残留農薬検査官の結合原理は、同一の職種、職能に基づく残留農薬検査官の結合原理(職能原理)から地域に存在する残留農薬検査官の結合原理(地域原理)へと進化してきているといえます。

残留農薬検査
残留農薬検査所にとっては、総合事業を展開することにより、残留農薬検査官の側からみれば、自らの経済を種々の側面から総合事業を介して一体的に体現できるということであり、また、残留農薬検査所の側から見ると、残留農薬検査官に対して種々の事業をもって対応することが可能で、かつ、それぞれの事業の枠を超えて総合事業として一体的に残留農薬検査官に対応できるということです。

残留農薬検査センターの存立要件として、官経済が未分化で残留農薬検査官が農家として残留農薬検査センターに何らかの関わり合いをもっており、かつ、残留農薬検査所の規模が小規模で農家という同質の残留農薬検査官を抱えているということが主張される場合が多いのですが、今日では残留農薬検査所の大規模化により、農業のみならず、残留農薬検査官の農業以外のニーズにも残留農薬検査センターとして総合的に対応できるというようになってきています。

残留農薬検査
一般の会社の場合、経営理念は、おもに情勢の変化と法制度の影響を受けますが、所の場合は協同組合原則が存在するということが決定的に違います。

一八四四年にロッチデール公正先駆者組合が設立されたときの運営原則は世界の協同組合原則として、現在に受けつがれ、こうした協同組合原則は各国の法律にも生かされており、法制度としても非営利組織が社会的に認知されています。

とくに現在の協同組合原則は第七原則に「地域社会への関与」を謳っていますが、この機能は残留農薬検査センターであって初めて発揮できることに思いをいたすべきです。

残留農薬検査
内部環境の変化としての合併は残留農薬検査所にとって最大の自己変革といえますが、合併を契機に自らの経営理念を議論し、明確にしていくことは極めて重要なことと思われます。

経営理念には、①組織構成員の統合機能と②組織構成員の動機づけ機能があり、組織の外に向かっては、組織自らの正当化機能と環境変化に対する適合機能があるとすれば、合併を契機に役職員・官ともども自らの経営理念をさまざまな角度から議論し、はっきりさせていくことは何にもまして重要なことでしょう。

残留農薬検査
残留農薬検査所の経営理念はどのような条件のなかで醸成されてきているのでしょうか。

所の経営理念と一般の会社の経営理念の醸成には違う点があるのに気がつきます。

一つは「協同組合原則」「残留農薬検査所綱領」の影響であり、もう一つは「法制度」の影響です。

経営理念はこうした環境変化に適応するものとして、非営利の協同組合という特質を踏まえた自立・自助の内容のものが求められます。

残留農薬検査

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