「食品はハードよりも、生活を豊かにするというソフト戦略が重要になってきた」(高橋賢作昭和産業取締役)。
食卓をいかに豊かに表現するか。
「味」という抽象的な要素での競争を宿命付けられたメーカーにとって、味を引き立てるシーン提案はマーケティングの一つの流れになるだろう。
ハイテクネットで顧客開拓
「どうです、この神戸牛。霜降り最高でしょう」。
「なかなかいいね。今すぐ届けてよ」。
一見、普通の生肉の商談風景だが、顧客が真剣に見つめているのはパソコン画面。
実際の商品はオフィスから数百キロも離れた兵庫県西宮市の食肉加工場にある。
商談はデジタル回線上で成立した。
伊藤ハムが九六年2月下旬から全国九カ所の加工場などで運用を始めた「産直マルチネット」ではこんな取引が行われる。