キリンビールは九六年3月、休日などくつろいだ時のビールとして「自由時間のビール」を発売した。
サントリーも商品名に「ビール」のない「大地と水の恵み」とすることで、屋外で飲むビールのイメージを強調する作戦に出た。
数年前からビール業界は季節限定、地域限定を次々に商品化してきたが、一連の「限定」戦略がついに「飲む時間帯や場所の限定」にまで及んできた格好だ。
アサヒビールが同年2月に発売した「食彩麦酒」は「夫婦で飲む」「ホームパーティーでにぎやかに飲む」といったシーンを提案した商品。
三十代から四十代前半のサラリーマンの家庭回帰に着目した。
業界で初めて、一つのブランドに二種類の味をそろえたのも、家庭の食卓を華やかにしようという狙いだ。