やみくもに規模拡大策を推進した農水省には責任がある。
食料の安定供給と稲作の国際競争力の維持を目的と考えるならば、稲作の実態、農家の知恵、それも時代の脚光を浴び始めたワークシェアリングという兼業の考え方を真剣に検討するべきである。
愛知県の岡崎平野では、稲作の大規模化が進み、三〇ヘクタール規模の稲作農家も珍しくない。
ところが、皮肉なことに、この地域で大規模営農が普及したのはトヨタ自動車という農家にとって優良な勤務先が整備されているという雇用条件のためである。
これにより稲作農家の多くは、規模拡大を志向する一部の農家に稲作を委託し、自らは農作業から解放されてサラリーマン暮らしを送っている。
残留農薬検査