このことについて、農業保護の口実であるとする攻撃がアメリカやケアンズ諸国(農産物輸出国グループ)からなされているが、最も自由貿易を主張し、かつ、最も生産条件に恵まれている新大陸型農業国であるアメリカにおいても、数次にわたる農業法で国内補助金を講じていて、こうした事実は、貿易では解決できない事項について一定の配慮が必要であることを示しているのである。
まして日本をはじめアジア諸国やアフリカ諸国等のように、どうしても国土や気候風土の制約を受けざるを得ない国々の農業生産については、その国の条件を踏まえた政策展開が認められるべきなのである。
もちろんこのことは、WTO交渉において具体的なルールとして認められることが必要であるが、そのためにも大事なことは、国際的にも主張を同じくする国々との連携と、国内における理解と支援である。
わが国の農業の持つ多面的機能を評価し、国内農業生産を維持することの重要性を国民全体が理解し、WTOにおけるわれわれの主張を支援する体制が必要である。