第皿部においては、これを追究していくことにする。
農村の「むら」についての話がそのまま日本社会に当てはまると感じる人は多いのではないであろうか。
私は、日本社会の最大の特色は「むら」的であることだと考えている。
現在では農村と何の関係もなく生活している人々も、もともとは農村にルーツを持っている人がほとんどである。
今日でこそ農家人口率は10パーセント台を割っているが、戦後まもない1950年時点では農家人口率は50パーセント近かった。
しかもその時点で農家人口でない人々も農村出身者、ないしは両親が農村住民、農村出身者であったものが多かったのだから、日本社会全体に「むら」社会のエートスが根付いていたとしても何ら不思議ではない。