どこの店も、「これが、ほんとうに地面で栽培されたものなのか......」と疑いたくなるような綺麗な野菜・果物を取り揃えていた。
値段の開きは、二、三倍はあるが、どれも野菜・果物そのものには、それほどの差異がないように思える。
どこの売場でも見られた光景だが、野菜・果物を買う主婦たちが、あっちを取ったりこっちを取ったりして、ためつすがめつ見くらべている。
しかし、どれもほとんどキズや虫食い等はない。
姿、色、形も均一である。
また、野菜・果物の種類は、過不足なく揃っているが、たとえば、ダイコンならダイコン、ナスならナスと、ひとつの産地のひとつの品種しか置かれていない。
売れ線の野菜・果物については、複数の「品種」と「産地」のものを取り扱ってもいいだろう。
野菜の種類を増やすのではなく、品種・産地を明示し、消費者の選択幅を広くしてもらいたい。
そういうと、スーパーの商品企画担当の人は、すぐに、過剰包装や、商品ディスプレイに頭を悩ますことと思う。
そうではなくて、ひとつの野菜・果物でも、あちこちの産地から調達した、さまざまな味・外観のものを取り揃えてほしい、ということだ。
それが、一〇年ほど前から余りはじめ、現在は消費が頭打ちである野菜・果物の消費拡大、さらには、主婦たちに野菜・果物をより理解させられる唯一の方法だと思うのだ。