「一俵三万円」。
かつて"ヤミ米業者"と呼ばれた、あきたこまち生産者協会(秋田県大潟村)は九六年も市場の倍の価格で生産者からコメを買い取った。
「これで四年目。うちに売ろうと生産者が殺到してますよ」と、涌井徹代表はしてやったりという表情を見せる。
九六年6月のコメ販売自由化で、卸売業界がもがき苦しんでいる。
集荷を握る農協系統と販売を握るスーパーの板挟みで主導権を確保できないためだ。
そんな中で、生産者の強い支持を受ける同協会がひときわ目立つ。
通信販売が主販路ながら、コメの年間取扱量は一万トン弱と秋田県内の卸売業者では最大規模。
コメは会員農家からの買い取りで、計画流通米は一切扱わない。