無違反案件の取扱い その1(残留農薬検査)

ガット第23条1項(b)は,他の締約国が,ガット規定に抵触するかどうかを問わず,なんらかの措置を適用した結果として,自国に与えられているガット上の利益が無効化ないしは侵害されたと認めるときには,紛争処理の第1段階としての協議に持ち込める旨規定している。
ECは無違反案件(non-violationcase)についてはその特殊な性質に鑑み,2国間交渉によるか,あるいは調停によって解決が図られるべきであり,通常の紛争処理手続によるべきではない,と主張している。

これは農産品をめぐる紛争に深く関連すると思われ,米国やオーストラリア等は無違反案件だけを特別扱いするような手続規定は不要としている。

紛争処理をめぐる交渉には,当初より法の支配を強化したいとする米国とガットの紛争処理を裁判所のようなものにしたくないとするECとの駆け引きという要素があった。


このブログ記事について

このページは、-が2014年12月28日 15:40に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「現実的な解決と和解(conciliation) その2(残留農薬検査)」です。

次のブログ記事は「無違反案件の取扱い その2(残留農薬検査)」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。