さらに,いつ何時ふたたびダンピング調査が開始されるかもしれないという状態は,将来の予測可能性を大きく減少させる。
ダンピング行為を行なわなければ心配はいらないはず,との指摘もあろうが,現実には,輸出価格が正常価格よりも低いかどうかの判断はきわめて困難な場合が多く,輸出企業がダンピングを行なっていると認識していなくともダンピング調査が行なわれてきた。
輪出企業にとって非常に頭の痛いこのダンピング調査が,近年米国およびECにおいて,国内産業保護の目的で保護主義的に使われているとの見方が強まっている。
最近のECおよび米国の貿易政策審査のためのガット事務局報告書も,このような見方を示している。
ガット上ダンピング税賦課が認められるためには,2つの要件を満たす必要がある。
1つは,ダンピソグの事実が認められること,もう1つは,輸入国の関連産業に実質的な損害を与えているか,あるいは与える恐れがあることである。